まず手術の名前ですが、扁桃腺をとることを「口蓋扁桃摘出術（こうがいへんとうてきしゅつじゅつ）」といいます。「口蓋」とは「口の入り口」のことで、扁桃腺は半分以上肉の中に埋まっているので、この扁桃腺を丸ごととります。手術は全身麻酔で眠った状態でします。

扁桃腺の手術自体は大がかりな手術ではないのですが、怖いのが「手術後の出血（医学的には「術後出血（じゅつごしゅっけつ）」）といいます）」です。扁桃腺はもともと口の中に顔を出していて、扁桃腺をとったところをぴちっと縫い合わせるのは無理なのです。どんな縫い方をしても傷口がぱかっと開いてます。

ですので、傷口からかさぶたがぽろっととれたりした時に出血することがあります。その出血の時に問題なのが扁桃腺は気道といって息の通り道にあること。血がたくさん出たら、息をすること自体できなくなって血を止めるどころではなくなってしまいます。

この「術後出血」がおこると（ちょろっと少しだけ出て血が止まったという場合を除いて）緊急手術です。

この緊急手術、全身麻酔をする時にのどから気管に麻酔用のチューブを入れるのですが、口の中は血の海でチューブを入れる場所が確認しづらく麻酔をかける医師にとっても非常にプレッシャーがかかるのです。

そんな「術後出血」のリスクがあるので、手術はクリニックではしておらず病院で、入院して受けることになります。そして外出中に出血したら危険なので外出は禁止で手術後1週間入院となります。

手術後入院する期間や手術後の活動制限などは病院によって変わってきますが、とりあえず数日の入院では済みません。手術を受けようと思ったら夏休みなど長めに休みを取れるときを検討することをお勧めします。

年末直前に手術を受けて年末年始は入院して仕事を休む期間を短くすることを考えられる方が時々おられますが、年始に退院するようなタイミングでの手術はお勧めしません。年末年始は一年の中で病院が一番手薄な体制になっていて、もし「術後出血」がおこって手違いがあったりしたら大変です。夏休みであれば病院がそこまで手薄になる心配はないのです。

手術を受けるのであれば入院期間が年末年始にかからないようにしましょう。