最近、患者さんが大阪の耳かき専門店で耳そうじを受けて、ちょっと痛かったということで受診されました。
耳の中を診てみると、、、かさぶたがついてました。こすりすぎて出血した跡(あと)でした。この耳かき専門店、6000円~7000円が料金の相場のようですが、3つ問題点があります。
1.耳あかをとっても、外耳道ガンや真珠腫(しんじゅしゅ)性中耳炎といった、治療しないと命にかかわったりする病気がわからない。
2.身体に傷をつける可能性がある。特に耳の奥まで触りすぎて、鼓膜(こまく:耳の奥にある音をキャッチする薄い膜)についている耳小骨(じしょうこつ:音を伝える小さな骨)にあたったりすると難聴やめまいを起こして入院治療や手術が必要になることもありえます。また、鼓膜を破ることもありえます。
3.値段が高い。耳鼻科で耳あかを取る場合、時間がかかるような難易度の高いものでも
両耳なら1300円。片耳なら1150円(いずれも初診時、3割負担。乳幼児医療の方は無料)です。
耳かき専門店は使わない方がいいとして、お家で耳そうじをする場合。
お家では顕微鏡もなければ先がとても細いピンセットや耳あかを吸いだす吸引管といった機材もありません。耳鼻科では耳かきや綿棒では耳あかを取りません。それは、耳かきでは耳の壁を傷つけたり出血を起こす可能性があり、綿棒では耳あかを逆に耳の奥に押し込んで耳栓のようにして難聴を起こすことがあるからです。さらにコワいのが耳そうじをしていて、お子さんやワンちゃんが飛びついてきたら、誤って、鼓膜をぶち破る、最悪耳小骨に当たってしまったら難聴やめまいで緊急入院や緊急手術をしないとずっと難聴が残ってしまう場合もあるのです。
耳あかはそもそも放っておいたら手前に出てきます。大人の方は気にならなければそのまま耳そうじをしないで過ごされたらOKです。耳あかが気になる・・・という方は他に変な耳の病気がないかのチェックも兼ねて耳鼻科で耳あかをとってもらいましょう。
お子さん、特に未就学児(保育園児や幼稚園児)はどんどん背が伸びるので、セミの幼虫が脱皮して大人になるように、耳の中に耳あかがどんどんたまっていきます。耳の中をみて、耳あかがある・・・と思ったら耳鼻科を受診してみましょう。この年代の方は特に滲出性(しんしゅつせい)中耳炎という痛くないけど聴こえが悪くなるやっかいな中耳炎が潜んでいることがありますので、そのチェックも兼ねれるので非常に意味があります。
未就学児の方は3カ月に一回くらいのペースで耳あかをとってもらうことをお勧めします!