先月、お子さんのいびきについて取り上げたところ、診察の時に保護者の方からいびきについて相談されることが増えました。
その後小児の睡眠時無呼吸について講演を聴く機会があり、より詳しく以下に説明していきます。
お子さんのいびきの何が問題かといいますと、、、
いびきだけならいいんですが、睡眠時の無呼吸もある時なのです。
具体的には・・・
おねしょが続いている。
落ち着きがなくて多動症といわれいている。
低身長で悩んでいる。
勉強がふるわない。
実はこれ、全て睡眠時無呼吸が原因のことがあるのです。
大人の方の睡眠時無呼吸は、心臓の病気になりやすくなったり、交通事故を起こしやすくなったり(そうでない人の3倍事故を起こすというデータあり)、仕事でミスが多くて職を失ったりといった社会問題になっています。
お子さんでは心と体が発育する過程なので、大人の方以上に実は深刻なのです。
いびきだけなのか、睡眠時の無呼吸もおこしているのかは自宅で眠っている間にできる検査でわかります。
もし検査でいびきだけでなく睡眠時の無呼吸もあれば治療をすれば改善します。それは扁桃腺(口蓋扁桃)を手術でとることです。
この手術は5才以下で治療をすると特に成長障害としての低身長やあごが小さい方には非常に効果があります。
背も、あごが小さいのも一年でよくなってきます。
逆に、6才以上だと手術をしても手術後2年目からの身長の伸び方が鈍ってしまうのです。。
他にも、睡眠時無呼吸であれば不注意や多動や問題行動や学業不振や肥満やメタボ予備軍。さらには夜尿(おねしょ)。
特におねしょは睡眠時無呼吸があると、8~47%になんらかの影響があるといわれており、手術をするといい効果があるというデータがあります。
と、いう具合にお子さんの睡眠時無呼吸の治療の重大な点は、治療(手術)のタイミングが遅れると、手術後に成長が改善することはあっても、早い時期に成長が抑えられていたことで、標準的な状態(身長など)までには至らない可能性があることです。
さらに、息の通り道である、鼻の状態がよくなくてもお子さんの睡眠時の無呼吸は起こりえます。例えばアレルギー性鼻炎の治療をすることで睡眠時の無呼吸が改善する場合もあるのです※
おねしょが続いている、落ち着きがない、低身長で悩んでいる、勉強がふるわない。。。そんなことはありませんか???
いびきが気になっていれば、一度耳鼻科で相談してみましょう!
※小児の睡眠時無呼吸症候群と手術適応 鈴木 雅明 日本耳鼻咽喉科学会会報 第119巻 11号(2016年11月20日発行)