原発不明ガンというのを皆さん、ご存知でしょうか?
これは、転移が判明(できものが飛んでいるのはわかっている)してるけれど、もとのガンがわからない病気です。
ガンは全部手術や放射線治療でやっつけないと治らない、そのガンの性質などによって治療方針は変わってくるというのがポイントです。
しかし、もとのガンがわからないというのは、どんな性質のガンかよくわからないので、一番いい治療方針がわからない、さらにもとのガンの部分はわからないので治療もしようもないので、全部のガンをいっぺんに叩けないといった点で非常にやっかいな病気です。
これはガン全体の1~5%※存在しているといわれており、たくさんではないですが、なってしまうとなかなか治ることが難しいです。
耳鼻科の場合ですと、首にぐりがあるとこの原発不明ガンのことがあります。
首のぐりがガンの場合、それはがん細胞のリンパ腺への転移なので、もとのガンが鼻やのどに潜んでいます。一番いいのは、首のぐりはそのままで、もとのガンを探して、もとのガンを発見できた場合です。
この場合は、根本的な手術でもとのガンと首のリンパ腺に転移したガンをまるごと取り除くことが可能です。
原発不明かどうかというのが患者さんの人生にとって(予後あるいは救命率という点で)大きな分かれ目ではありますが、もう一つ大切なのは、「いきなり首のぐりをとったりしない」ということです。
これはどういうことかというと、組織検査にぐりをだすために外科を受診するとまずぐりをとることが多いのですが、こうするとガンだった場合、ぐりをとる時にがん細胞を周りにばらまく結果になってしまいます。
そうすると、ガンと確定して、「首のガンなので、耳鼻科へ紹介します」ということで耳鼻科へ来られることが多いのですが、来られた時点でガンは体の中にばらまかれている状態ですから、非常に病気の予後が悪くなってしまいます。
自分の経験では、そうして外科から紹介されてもとのガンがわかったり、あるいはわからず原発不明ガンとして治療をした方で5年以上生きられた方はおられません。
首にぐりがあった場合は、外科や内科ではなく、まず耳鼻科を受診するようにしましょう!
※参考資料:九州大学病院 がんセンターのHP